女性お笑いコンビAマッソの加納愛子さんは、コンビではネタ作成担当で読書芸人としても知られています。
アメトークの読書芸人への出演や、エッセイの連載、短編映画の監督なども経験しており脚本を担当することも。
その活動は芸人という枠を飛び出し評価されています。
今回はそんな加納さんの小説集「かわいないで」を読んだ感想や内容をご紹介します。
お笑いファンにはたまらない内容もあり、さくさく読み進められました。
Aマッソ加納の新作小説集「かわいないで」の内容
「かわいないで」は2024年5月13日に発売された、加納さん初の短編小説集です。
文藝春秋から出版、定価は1,650円(税込)。
ページは224ページで、最初手に取った印象としてはずっしり重い感じでした。
しかし読んでみると面白くてさくさくと読み進められ、2時間ほどで読み終えました。
短編集とのことですが、内容としては
- 黄色いか黄色くないか
- かわいないで
の2本の短編小説が収録されています。
この小説は
誰にも覚えがありながら名付けがたい、微視的な関係性や感情を、鋭い観察と抜群の言語感覚で織り上げた、著者新境地の小説集。
とのこと。
ではそれぞれの内容と感想をご紹介していきます!
「黄色いか黄色くないか」
このお話の主人公はお笑いファンの劇場スタッフへ就職した女性。
私生活や劇場の日常、芸人さんとの関係性ややりとりなどが描かれています。
「黄色いか黄色くないか」というのは、主人公と友人が学生時代猛烈にハマってマネしていた芸人のネタ。
この部分ももし私も劇場に一緒に通う友人がいたら、自分たちなりの面白を見つけてそのくだりをマネしていただろうなと思ってしまうほど共感。
高校生の頃は劇場に一緒に通って居た友人が違う道を歩んでいたり、いまだに親にイライラしてしまう感じなどがリアルで共感する部分もありました。
その女性の心の声がまさにお笑いファンであると感じさせるものばかりで、共感できるものやお笑い好きならではの視点に気づかされました。
それは筆者である加納さんも背後に透けて見えて、加納さんのお笑い脳に触れた感覚になりました。
「普段からこんなこと考えているのかな」「さすがお笑いの世界の人だな」と細かな着眼点や観察力のすごさを、文章を通して芸人加納さんの思考に触れた気持ちにもなりました。
この物語に登場する架空の芸人たちはかっこよくて、モデルがいるのだろうかとか考えてしまいました。
普段劇場に足を運ぶお笑いファンにとってこの本は、知ることのできない劇場の幕の向こうでの常識や苦労を知ることができます。
そして劇場のありがたみや、芸人という職業の難しさやかっこよさを知ることができより一層お笑いの世界にありがたみを感じました。
「かわいないで」
本のタイトルにもなっている「かわいないで」は女子高に通う高校生が主人公。
近くの席で繰り広げられる女子たちの会話をいつも盗み聞きしていて、それが面白くて楽しみになってしまっている主人公。
その会話の中で、彼氏持ちの女子のかわい子ぶった発言に対して「かわいないで」というもう一人の女子のツッコミが待ち遠しい。
主人公は自分の仲良しな友達との会話からは得られないような刺激的な話や、面白いツッコミや流れが楽しくてその会話をいつも聞いています。
でもその女子とはグループが違い、決して仲が良いわけではなくその会話に入れずにもどかしい感じが描かれています。
青春時代、そのような経験もあったなと思いだしてしまいました。
クラスではグループというものは日がたつほど決まっていて、その友達とはなんか合わないなと思っていても簡単には離れられないという状況。
でも急に一緒にいなかったりすると「怒ってるの?」と言われたりめんどくさいことになる。
この物語でも主人公は友達との会話に集中できなくなり、喧嘩のような状態になってしまいます。
面白女子の掛け合いが漫才みたいだったり、主人公の心の声がツッコミになっていたり会話劇のようなお話です。
女子高ならではの恋に花咲かせる感じや、いざそういう場面に自分が遭遇すると浮足立ってしまう感じなど共感できる部分もありました。
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気になる方はぜひお手に取ってみてください!
まとめ
Aマッソ加納さんの「かわいないで」を紹介させていただきました。
私のつたない文章ではこの本の素晴らしさが伝えきれなかったかもしれませんが、とにかくこの小説は最高なんです!!
どちらのお話も文字だけの表現でこんなにもその情景が想像できるのか!と驚くくらい、読みやすくて分かりやすかったです。
名前のない色々な感情を思い出して懐かしい気持ちにもなりました!
お笑いファンにはすごくお勧めしたいのですが、人の心に触れたときのあの気持ちを思い出したい人にもお勧め。
普段小説を読まない方でもとても読みやすいかと思います。
次回の加納さんの小説や今後の活躍がとても楽しみですね!